「情報システム」は、福井県立大学・経済学部で田中求之が担当している、経済学部専門科目です。この授業は、私たちの身の回りにあふれている様々なデジタル情報機器(デジタル家電)について、原理・技術および業界の動向や商習慣(制度)などを取り上げて解説しています。この授業を通じて、情報のデジタル化の意味や意義、あるいは私たちの生活との関わり、さらには人間自体の情報処理(知覚・感覚)との繋がりなどを理解してもらいたいと考えています。

このページに記されているのは、講義のうち、原理・技術についての解説のために田中が作成した講義ノートです。授業では業界の現状、あるいはその時々のニュースの解説なども行っていますが、それらは載せていません(時間が経つと意味をなさないため)。

さらに、工学部向けの授業ではないため、正確さよりも分かりやすさを優先したものになっています。田中の理解が誤っていたりタイプミスをしている箇所も残っていると思います。授業の受講者以外の方がこのページをご覧になる際は、こうしたことを留意の上、お読みください。

デジタルTV

地上デジタル放送とワンセグ

開始

2003年12月に関東・中京・関西で開始され、2006年以降、全国展開(福井は2006年5月1日)された。従来のアナログ放送は2011年7月24日正午に終了した。

*ただし東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県は、2012年3月までアナログ放送が延長されている。

何が変わったのか?

下記の総務省のページに書かれている内容を整理する

  • ゴーストがなくなる(伝送に伴う劣化が少ない)
  • デジタルハイビジョンが楽しめる
  • 複数番組の同時放送が可能
  • 字幕放送等のサービスが簡単に
  • データ放送の受信が可能
  • ネットを利用した双方向機能
  • 電子番組表(EPG)による番組情報
  • 5.1chサラウンド
  • ワンセグ放送

なぜアナログ放送を停止したのか?

現在のアナログTV放送が使用している電波(特に VHF と呼ばれる波長の電波)を、他の無線サービスなどに利用するためである。ケータイや無線LANのように、様々なサービスが電波を利用するようになってきたが、利用できる電波は限られている。このため、新しいサービスのためにTVで使っている電波の一部を再利用したいわけである。電波の再利用(有効利用)のために、アナログ放送を打ち切ったのである。

アナログ放送で使用されていた帯域の一部である「VHF-HIGH帯」が空く2011年7月以降に開始を予定する放送サービスとして、携帯端末向けマルチメディア放送が開始された。NTTドコモの子会社の「マルチメディア放送」が NOTTV の名称でサービスを始めた(ただし対応機種はまだ少ない)。

VHF-Row帯のマルチメディア放送は2015年末に、一部の地域で始まる予定。

また、従来はアナログ UHF チャンネルとして使われていた 700MHz 帯の電波は携帯電話に使用されることになり、KDDI (au)、NTTドコモ、イー・アクセスの3社に割り当てられることになった。また、業務用無線などに使われていた900MHz帯も携帯電話に割り当てられることになり、ソフトバンクに割り当てられた。700MHz〜900MHz の電波は、1.7G や 2G といったケータイで用いられている他のより高い周波数の電波に比べると、電波の減衰量が小さく、また回折(建物などのうしろに回り込む性質)が強いため、同じ出力でもより遠くに(広く)届く。このためプラチナバンドと呼ばれている。

移動端末向けマルチメディア放送や携帯電話以外に、高度道路交通システム(ITS)などでの利用も計画されている。

規格

当初は世界共通規格を導入が構想されたが、結局、ありがちな日米欧の3方式の並存になった。

UTF 帯の電波を、1チャンネルにつき 6MHzの帯域を使用して放送される。

放送に使う電波は 6MHz の電波を 14 に分割したサイズのセグメントのうち、13セグメントを使って放送する。このうち1セグメントを移動体用(携帯電話など)に使うことになっており、残りの12セグメントを通常のテレビ放送が使う。

ハイビジョン放送(HDTV)だと1番組(12セグメントすべてを使用)だが、従来の画質の放送(SDTV)だと1番組分につき4セグメントで済むので、3チャンネル分を同時に送ることが可能になっている。

一つのチャンネルのなかに13車線の道路をつくって、それを用途によって使い分けていくわけである。

ワンセグ

移動体向けの地上デジタル放送で、先ほど延べたように、地上デジタル放送の電波を構成する13のセグメントのうちの真ん中の1つを利用することから、ワン・セグメント→ワンセグと呼ばれることになった(通常の番組の方をフルセグあるいは12セグと呼ぶ)。

従来のTV放送と同じ画質の放送だと4セグメント必要なのだが、ワンセグの場合は、さらに少ないセグメントで放送を行う。つまり、画面が小さい携帯やカーナビ用と割り切った規格の放送になっている。

具体的には、画面は低解像度(画面の画素数が少ない)になっており、320×240または320×180画素で構成される(通常のTVだと720×480になる)。

また、1秒当たりの静止画の数は15(15フレーム/秒)(→1秒分の動画が15枚の画像の交替として放送されるということ)。通常のTVの動画は30フレーム/秒。

音声や画像のデータは圧縮して送られる。画像の圧縮方法が、TV向けとは異なる。TV向けは MPEG-2 という規格であるのに対して、ワンセグでは H.264/MPEG4-AVC という規格になっている(音声部分は MPEG-2 AAC で地デジと同じ)。

通常のTV放送と同時にデータ通信も可能になっている。原理的には、緊急時に信号により自動的に画面が映る緊急警告放送(ウェイクアップ機能)も可能になっている。

なお、TVが映る携帯電話の場合、TVの受信に関しては、携帯用の電波は全く使用していない(パケット通信でTVが送られてくるのではない)。つまり、ワンセグが映る携帯の場合、ワンセグ対応のTVと携帯電話をくっつけたものになっている。このため、携帯会社にとっては、ワンセグ放送そのものは、直接に利益には結びつかない。携帯会社は、データ通信とパケット通信が結びつく段階で初めて直接的な利益を得られるのだが、サイマル放送の現状ではうま味は少ない。むしろ、TVを見ている間は、パケット通信や通話での利用はほとんどないということで、マイナスであるとも言える(ワンセグ放送のデータ放送の部分は携帯を意識したものが放送されているようだ)。

そうした状況で、各メーカーは、機種販売の手段として積極的にワンセグ対応の機器の販売を行ってきたわけだが、2008年にワンセグについてはサイマル放送の縛りが解けたので、ワンセグ独自の番組を放送できるようになった。2009年に入って、放送局側も、ワンセグの独自放送に積極的に取り組む動きも出てきている。こうしたワンセグ放送の動きに、携帯電話の会社も色々と動きを見せている。

フルセグとケータイ

通常の地上デジタル放送はフルセグと呼ばれるが、最近のカーナビではフルセグ対応のものが増えてきた。また、これまでフルセグの小型化を拒んでいた B-CAS カードが小型化されたり方式の見直しが検討されており、ケータイをフルセグ対応にする研究開発も行われているようである。

ハイビジョンとは

一般にハイビジョンと読んでいる高画質のTVは、正確には、高精細テレビ(High Definition TeleVision)、HDTV という(従来の放送のことは SDTV という)。

走査線を現行の525本から、1125または1250本に増やし、画面のアスペクト比を4:3から16:9にすることで、高画質の大画面での放送を行えるようになっている。

SDTV の解像度(1画面を構成する画素の数)が 720×480 なのに対して、HDTVの解像度は 1920×1080 (衛星ハイビジョンの場合)になる。

ハイビジョン放送と言われるのは、次のような画面のもの

  • 720p 1280×720
  • 1080i 1440×1080 地デジ
  • 1080i 1920×1080 BSデジ
  • *従来  720×480
  • *ワンセグ 320×240/180

i とか p というのは、一つの画面のデータを送る方法の違い。p はプログレッシブといって、1画面分を一度に送る。それに対して i はインターレースといって、1度に半分のデータを送る(一画面分のデータを送るのに2回の転送が必要)。

なお、解像度というのは、TVの場合は、画面を構成している画素の数である(デジタルの画像は、画素と呼ばれる小さな点の集合で一枚の絵=画面をつくっている)。画面の物理的な大きさ、いわゆるモニターのサイズではないことには注意。

モニターのサイズ(20インチとか42インチとかいうやつ)は、モニターの物理的な大きさを示すもので、対角線の長さをインチ(2.54cm)で測ったものである。ブラウン管方式のモニターの場合は、ブラウン管の対角線だが、薄型TVの場合は表示領域の対角線である(42V のように、Vをつけて示されているのは、表示領域の長さであることを示している)。

さらに、これまでのアナログ放送のテレビ、特にブラウン管のTVの場合、横と縦の比率(アスペクト比)が 4:3 だったが、地デジ対応のTVの場合、アスペクトは 16:9 と横長になっている。このため、昔のTVが20インチの画面だった場合、同じぐらいの大きさの画面の新しいTVだとサイズは大きくなる。

フルハイビジョン対応

薄型TVの宣伝などに使われる用語にフルハイビジョン(フルHD)対応というのを最近目にするようになったが、これは基本的に、家庭用テレビの場合、表示画素数(解像度)が 1920×1080 である事を意味している。

ハイビジョン放送は、現在では、1440×1080 (地上波)、1920×1080 (衛星)の画素数の映像で放送されているが、フルHDでないTVの場合は、これを縮小して少ない画素数のモニターで表示することになる(映像の質が当然落ちる)。フルHDのTVであれば、ハイビジョンの映像をそのまま表示できる(衛星デジタルのハイビジョンをそのまま表示させられる画素数ということになっている)。

BSデジタルと地上デジタルの違い

現在、デジタルハイビジョン放送には、地上デジタル放送(地デジ)と、それより一歩先に放送が開始された衛星デジタル放送(BSデジタル)がある。で、実は、この二つ、微妙に異なっているのである(厳密には、デジタル放送の規格が地デジは ISDB-T でBSデジタルは ISDB-B である)。

簡単に言うと、フルHD規格の画面で放送を行っているのは衛星デジタルで、地デジはフルHDの画面ではない。どちらも縦の画素数(走査線)は 1080 なのだが、横の画素数が異なる。地デジは 1440 で、衛星が 1920 であり、衛星デジタルのハイビジョンの方が画素数が多い。

さらに、衛星のほうがデータの圧縮率が低い(ビットレートが高い)ため、画質は衛星のほうが高い。

地デジ&ハイビジョン関連のあれこれ

コピーワンスとダビング10

DVD レコーダなどにデジタル放送をデジタルで記録した場合、何の制限もかけてないと信号(画質)を劣化させることなくコピーすることができてしまう(音楽 CD をパソコンでコピーする場合を考えてみればわかる)。このため、デジタル放送では、データのコピーを制限する機能がついている。

仕組みを大雑把に説明しておくと、デジタル放送のデータは暗号化されて送られてきて、これが B-CAS カードが入った機器で受信すると、暗号が解除されて番組が見られるようになっている。録画される場合も、暗号化されたままの情報が録画されるので、録画したものをみる場合も、データの暗号化を解除しなければならない。で、この暗号化の仕組みにコピー制御を組み込んである。つまり、「不正に」コピーされたデータの場合は、暗号を解除できないので、番組が見られない、という仕組みになっている。

以前は、コピーワンスと呼ばれる、ムーブが1回しか認められていなかった。ムーブというのは、ハードディスクに録画したものを DVD に移す(=ムーブ)というのもので、DVD を作った場合には、レコーダーのデータは削除される(データを移動させるということ)。

これではあまりに制限が厳しすぎるということで、2008年にダビング10という制限方式にゆるめられた。これによって、コピー(DVD を作っても、録画したデータが消えない)が9回と、ムーブ1回という制限になった。最大10枚の DVD に残せるようになったわけである。

ただし、レコーダーからコピーしたりムーブできる DVD-R は、著作権保護機能に対応した DVD (CPRM対応ディスクと呼ばれるもの)でなければならない。

放送を直接 DVD に記録する(いわゆる DVD レコーダー)の場合も、CPRM 対応ディスクを使用する必要がある。また、録画した DVD からさらにコピーを作ることはできない。

また、CPRM対応ディスクにコピー/録画した映像を見るには、CPRM 対応の DVD プレイヤーが必要であり、非対応の DVD プレイヤー(古い DVD プレイヤーなど)では見ることができない。

このように、現状では、デジタル放送は、がちがちのコピー制限がかかっている。

ダビング10の導入と私的録音録画補償金制度

ダビング10の導入にあたっては、番組制作者の著作権を管理する団体と、業界・消費者の間で意見の対立があり、導入が延期されるなどの混乱があった。焦点となったのは私的録音録画補償金制度である。

私的録音録画補償金制度というのは、デジタル方式で音楽や動画を記録できる機器やメディア(ディスク)の代金に、あらかじめ補償金の分が上乗せされて販売されるというものである。消費者が代金の一部として支払った補償金は、管理団体を経て、番組などの制作者(著作権者)に支払われるようになっている。

この制度は、デジタル方式での複製の場合は原理的には劣化が起きないことから、デジタル方式の複製の場合は一定の割合で補償金を徴収し著作権権利者への利益還元を図ることを目的としている。1992年に著作権法が改正されて導入された。

現在、MD、CD-R、DVD-R などのディスクやレコーダーが対象となっている。

ハードディスク型のTVレコーダーや iPod のような音楽プレーヤー、パソコンのハードディスクなども対象にするべきかどうかで、著作権者側とメーカー、消費者との意見が対立している。

ダビング10の導入の際に、BD(ブルーレイ)が課金対象になり、2009年5月22日から実施されたが、地デジの録画専用のものについては対象には含まれないとしてパナソニックと東芝が課金を見送っているという状況である。

ハイビジョン番組は DVD にできない?

現在の DVD-Video の規格(映画などの DVD の規格。録画したTV番組を DVD にするときには、この規格にそって DVD-R にデータを記録するので、DVD プレイヤーやパソコンで見られるわけである)では、レコーダーに記録したハイビジョンの映画をそのままの画質で DVD にすることはできない(DVD の規格が対応していない)。そのため、DVD にコピー/ムーブする場合に、画質を落としたり、DVD-Video とは異なる規格(圧縮方法を変える)による記録などの方式がとられていることがある。

DVD の規格とは異なる圧縮方法を用いることでハイビジョンの番組を DVD に記録できるようにしたものには AVCREC がある。Blu-ray の団体が提唱しているもので、各メーカーから対応したレコーダーも発売されている。 CPRM対応の DVD ディスクを使う。再生は対応機でなければできない。画質を落とすことにより長時間の番組の記録も可能になっている。

地デジ&ワンセグは時間あわせに使えない

デジタル放送の場合、放送のデータを放送局側で圧縮して(エンコード)送信し、受信したTVで圧縮されたデータを解凍する(デコード)する。このため、アナログ放送と同じ内容が放送される場合、同じ内容が映されるのが、アナログTVよりも少しだけ遅れるという性質がある(1~4秒、機器の性能や地域によって差が出る)。

この放送の遅れ/ずれ(タイムラグと言う)は、デジタル放送が原理的に持っているものであり、0になることはあり得ないものなのである(機器が高度化すれば短縮されるが)。

このため、秒単位の正確な時間合わせには、地デジやワンセグは使えない。

現在の地デジの放送では、時間表時の部分がゆっくりと書き変わるなどの表示上の工夫をおこなっている( 10:20 なのか 10:21 なのかはっきりしない表示がされるわけ)。

ただし、こうしたタイムラグがあることが、緊急時の放送には問題になるため、緊急放送時の解決策が検討されているようである。

デジタル放送とケーブルテレビ(CATV)

地デジの開始によって、ケーブルテレビ(CATV)でもデジタル放送が流され、ケーブルテレビしか使っていない(テレビのアンテナを付けていない)家庭でもデジタル放送が視聴できるようになっている。ただし、どのようにデジタル放送が流されているかは会社によってことなる。

地上波デジタル放送をケーブルテレビで提供する方法は、大きくわけて2つある。簡単に言うと、テレビの電波をそのままケーブルで流す方式(パススルー方式)と、ケーブルテレビ用の信号に変換してから流す方式(トランスモジュレーション方式)である。

パススルー方式とは、正確には「受信した電波を変調方式を変えずに伝送する方式」を言う。地上デジタルテレビ放送が使用するUHF帯の電波をそのままケーブルに流すわけだが、放送の周波数のままでケーブルに再送信する「同一周波数パススルー方式」と、放送の周波数とは異なる周波数(VHF/MID/SHB/UHF)に変換して再送信する「周波数変換パススルー方式」とがある。なお、この方法でケーブルに流れるのは地上波デジタル放送のみで、衛星デジタル放送(BSデジタル放送、CSデジタル放送)は受信できない。

トランスモジュレーション方式とは、「受信した電波をケーブルテレビに適した変調方式に変換して伝送する方式」を言う。この場合、ケーブルテレビ専用のデジタル放送対応のSTB(セットトップボックス)をテレビに接続して視聴することになる。この方式ではSTB1台でケーブルテレビが伝送しているBSデジタル放送、CSデジタル放送なども視聴が可能になる。

福井近辺の CATV では地上波デジタル放送の信号は、アナログ契約の場合でも同一周波数パススルー方式で流されているようである。この場合、ケーブルに地デジ対応のテレビを接続すれば、デジタル放送を視聴できる。ただし、衛星デジタル放送は見られない。

デジタルパックといったデジタル放送用の契約をすると、地上波デジタル以外のデジタル放送もトランスモジュレーション方式でケーブルを流れてくるようになっている。この場合、CATV 会社からレンタルで借りる STB (セットトップボックス)と呼ばれる専用チューナーにTVをつながなければ見られない。またレコーダーの内蔵チューナでは衛星デジタルは受信できない=録画できないことになる(レコーダーに外部入力として信号を入れたら録画はできるが、予約機能などは使えない)。このため、デジタル放送向けの STB にはレコーダー機能を内蔵したものも出ている。

なお、この STB 方式だと、従来のアナログテレビでもデジタル放送を見ることができるものがある(デジタル放送の信号をアナログTVで見られるように変換する機能がある)。ただし、当たり前だが、画質は従来の放送と同じままである。

薄型TV

TV受像機のうちフラットパネルでTVが映るもの(薄型テレビと呼ばれている)には、プラズマテレビと液晶テレビの2種類が、現在主流である。新しい方式として有機ELテレビが登場しており、次世代の薄型TVとも呼ばれている。

どの方式も光の3原色である赤・緑・青(Red Green Blue)の3色の光を合成することでカラー表示という点では同じだが、この光を作り出す原理が違う。プラズマテレビは蛍光体を放電により光らせる。液晶テレビは蛍光体の光を液晶のシャッターで制御して表示。有機ELは、有機化合物を光らせる。

プラズマテレビ

プラズマディスプレイ(PDP)を用いたテレビ

ガラス管の間に高圧ガスを閉じこめ電圧で発光させる(プラズマ放電)。プラズマ放電によって発生した紫外線がガラス管に塗られた蛍光体に当たることで、蛍光体が発光して可視光線を発する。蛍光灯と同じ原理である。

簡単にいうと、光の3原色の蛍光灯の小さいものをずらっと並べて画面を映しているのがプラズマテレビなのである。なお、光の強さは、光り方そのものをコントロールするのではなく、短時間の白黒の点滅の回数によって階調を表現するようになっている。

応答速度が速い(必要な箇所だけが瞬時に光るインパルス型なので)、コントラストが高い、視野角が広い、大型化が可能というのがメリットで、重く、小型化が難しいのがデメリットといわれているが、デメリットを解消した新製品開発が激しい。

ただし、薄型TVのうちでプラズマが占める割合は小さくなってきている。また、生産や販売から撤退する企業も出てきている。

液晶テレビ

液晶テレビの場合は、液晶が光っているのではない。液晶がシャッターとして光をコントロールすることで画面を作り出している。

発光体(光の3原色のどれかの色を発するもの)の光をどれだけ通すかをコントロールする部分を液晶が担っている。ガラスの間に液晶を封入し、電圧をかけることで結晶の向きを制御し(偏光板を使う)、光の透過率を変えている。

薄型、軽量、消費電力も少ない、寿命が長いというメリット、応答速度が遅い(常に光っているものをコントロールするホールド型なので)、色の再現能力低さ、視野角の狭さ、大型化が困難というデメリットがあるといわれるが、こちらも技術の改良が進行している。

近年はバックライトに LED (発光ダイオード)を使い省電力化と画質を高めたもの、映像の表示を通常の2倍や4倍の速度で切り替えることで残像感をなくす倍速駆動(4倍速駆動)など、新しい技術が投入されてきている。

有機ELテレビ

2012年現在、日本では薄型TVとしては販売されていないが、将来の薄型ディスプレーの本命とも言われる。

有機化合物に電気を流すことで光らせる(蛍が光るみたいなイメージ)のであるが、TVを薄くできる、画像が鮮明などの特徴を持つ。現時点では、大型の量産ができない、寿命が短い、などの問題をかかえているが、各社が技術開発を行っており、いずれ各社が発売してくるものと思われる。

現在は、携帯電話の表示画面などの小型モニターで利用されている。

2012年中に韓国のサムスンと LG電子が有機ELの薄型TVの販売を開始する予定。また、ソニーとパナソニックがTV用の有機ELパネルの共同開発を行うことになった。

3DTV

2010年になって各メーカーが 3D 対応のTVを発売した。

人間は右の目からの情報と左の目からの情報の違い(視差という)をもとに奥行きを感じるようになっているのだが、3DTVは、右目用の画像と左目用の画像を振り分けて目に届けることで3Dで画面を見られるようにしている。

現在発売されている3DTVは、「アクティブシャッター(メガネ)方式」と呼ばれるもので、3Dを見る時には専用のメガネを装着し、このメガネがTVと連動することで3Dが見られるようになっている。TVの方は高速で右目用と左目用の画像を交互に表示し、連動するメガネの方で、右目用画像が表示されている時には左目の方をシャッターで閉ざし、左目用の画像の時には右目のシャッターを閉ざすことで、左右の目に別々の画像が表示されるようになっている。

*これ以外の方式での3Dもある。

3D専用に作られた映像しか3Dにならないのはもちろんのこと、メガネを装着して特定の位置から見ないと正しく見られないなどの制約がある。ブルーレイの 3D 対応も登場するなど、新製品が出てきているが、現在は話題が先行している状態であり、どこまで普及するかは不明である。

その他の動向

薄型TVは価格低下が激しく、各社とも収益に結びつかない状態になっている。ソニーやパナソニックもTV事業は赤字である。またシャープはかつては国産の液晶パネルを使ったTVを亀山ブランドとして売っていたが、亀山工場ではTV用の液晶の生産を中止し、スマートフォン向けの中小型液晶パネルの生産に切り替える。

液晶TVの画質を向上させるために、画像を解析して、最適な画像に調整したり、フレームを補完する新たな画像を生成したりする技術開発が続いている。これらの技術の場合、複数のフレームのデータを比較・解析するために、電波が届いてから表示されるまでに少しだけ遅れが生じる。そのため、ゲーム機を繋いだ場合、反応が遅れることが起こるため、ゲーム専用の表示モードを設定している。

録画機能が一体になったTVも増えている。最近では USB で接続した外付けハードディスクに録画できるものも少なくない(ハードディスクを取り替えることで容量を自由に増やせる)。また、同時に複数の番組を録画できるようになっているものもある。中には6チャンネル同時録画が可能なものもある。

東日本大震災後、電力不足の可能性に対処するため節電が呼びかけられるようになったが、TVにもこれに対応して節電機能を強化したもの、あるいはバッテリーを使って充電できるものなどが出てきている。

様々な家電がインターネットにつながる状況の中、TVや音響機器、あるいはパソコンやモバイル機器などをネットワーク上で簡単に相互接続してデータをやりとりできるように、DLNA という業界団体が結成され、接続のためのガイドラインの策定を行っている。これに対応した機器も増えてきている(TVで録画した番組をパソコンで見るといったことが簡単にできるようになる)。

また、インターネットに繋いでネットのサービスを利用する端末としても使えるスマートTVと呼ばれるものも登場している。スマートTVとうたってなくとも、インターネットに繋いで動画配信や YouTube を見ることができるTVは増えている。